iPhone、AppleとCisco−1


IT革命とかインターネット革命だとかいうが、
業界で働いている人を除くその他ほとんどの人達にとって
無数にあるIT企業がいったい何をしている会社なのかさっぱり判らないはずだ。
Ciscoってのはそのいったい何をしているのかさっぱり判らない会社の典型だろう。
商品も一般消費者の目に触れることはほとんどない。言うなればBackEnd。


Appleはその逆だ。iPodMacと消費者にとって興味津々のプロダクトを
作っているので一挙一動に皆の注目が集まる。
IT産業の中でいうと非常に稀な知名度の高さを持った会社だ。


この同じITと言ってもほとんど関わり合いがなさそうな2社が、これからは

Cisco and Apple will explore opportunities for interoperability in the areas of security, and consumer and enterprise communications.

という結論に至ったそうであるから興味深い。


まず、この和解から両者が何を得れるか考える前に、
なぜAppleが競争の激しい携帯電話のマーケットに打って出ることを決めたのかだが*1

  1. Microsoft等ライバルがiPodと類似デバイスで攻勢をかけてきた。それに対する差別化。
  2. 少し長い目で見たとき、パソコンに曲をダウンロードして、それを携帯用ハードディスクに入れて持ち運ぶという行為自体が時代遅れになるという懸念。

のようなことが考えられないだろうか。


重要なのは2番目のほうだ。


Apple iPod 30GB ホワイト MA444J/A
Apple iPod nano 8GB ブラック MA497J/A
Apple iPod shuffle 1GB MA564J/A



現在の3G前後でも可能だが、
携帯電話が3−4年後にSuper3G、4Gに移行し
1秒間にやり取りできる情報量が多くなれば、
今よりずっと簡単に短い時間で
音楽や映像のダウンロードを行うことができるようになるだろう。
あるいはダウンロードしなくてもストリーミングで聞くという行為が容易になるだろう。
すると、今のハードディスクに入れて音楽や映像を持ち運ぶという仕組み
では提供できない新たなサービスが可能になる。
例えば、自分のiTuneをネットワーク上のどこかのサーバに置いておき、
会社や学校から帰る途中、携帯電話の画面を通して、
ネットワーク上のiTuneに溜めてあるTV番組を観る。
帰宅後はワイドスクリーンTVの画面で続きをみるといったサービスが可能になる。



AT&Tは現在「ホームゾーン」と「Uバース」という動画配信サービスを提供しているが、
今後光ファイバー・ネットで上記のような携帯電話と家庭のTVをシームレスにつなぐ
サービスの提供を検討しているそうだ。
ちなみにAT&Tは、AppleiPhoneのパートナーに選んだ携帯電話会社シンギュラー・ワイヤレス
とは密接な関係にある。*2


Appleは、通信事業者がどこかの携帯メーカと組んでこのようなサービスを始められると
iPodの優位性が損なわれる、であれば自らこの携帯メーカとなろうと考えたのではなかろうか。


では、一方Ciscoにとってコンシューマ・マーケットは何を意味するのだろうか。。。


実は携帯電話と家庭のTVをシームレスにつなぐサービスのビジョンをCiscoも持っている。
今年のCESでのプレゼンテーションでそのデモが出てくる。*3
Ciscoは昨年のScientific Atlanta社やArroryo社の買収を通じ
様々な形でエンドユーザに対してビデオ配信をするための製品群を整えてきている。
また、Scientific Atlantaの製品はAT&TがUバースサービスを提供するために使用されるデバイスとして選ばれている。
*4


<続く>