インターネット構造変化の兆し


久々の記事。世の中は2年半前と随分変った。昨今の話の中心はクラウドである。


2年前と現在でインターネットトラフィックの在り方が、そのクラウドとか
の影響でまるで違っている。
クラウドというとSaaSなどのアプリケーションに焦点があたりがちだが、
インターネットの接続の在り方にまで影響を及ぼしている。


コンテンツを持つ者、サービスを持つ者、エンドユーザを持つ者、
それらにトラフィックが集中してきていて、
2年前のコンテンツプロバイダー vs バックボーンプロバイダー
という話ではなくなってきている。


Arbor、State of Michigan、Merit NetworkによるNANOG47での発表


DDoS & Network Visibility Solutions | NETSCOUT Arbor


The Internet has shifted under our feet | Network World


http://wiredvision.jp/news/200910/2009101923.html

AdvancedTCA

Anytime2007-05-16



Advanced Telecom Computing Architecture(ATCA)。
通信事業者のための機器の仕様を定めたもの。
写真のようなChassisの形状とそこに差し込むBladeの形状を規定している。
写真はRadisysのもの。*1


2002年、AdvancedTCAは
PCI Industrial Computer Manufacturers Group(PICMG)*2
ガイドラインの元、100社以上の業界サプライヤ
および通信機器メーカによって
PICMG3.Xの規格シリーズとして開発された。


Specification Number Description
PICMG 3.0 Core specification defining architecture mechanicals, power, system management, fabric connectors, and Base interface (10/100/1000 Base-T). Download the Short Form Specification.
PICMG 3.1 Specification for Ethernet and Fibre Channel Fabric interface.
PICMG 3.2 Specification for InfiniBand* Fabric interface. Download the Short Form Specification.
PICMG 3.3 Specification for StarFabric*/Advanced Switching interface.
PICMG 3.4 Specification for PCI Express* and Advanced Switching Fabric interface.
Table. from Intel homepage *3


ターゲットとしては、ワイヤレスや有線用のサーバー収容などの用途が上げられ、
特にワイヤレスであればBase Station Controllers(BSC)、
Radio Network Controllers(RNC)、Serving GPRS Support Nodes(SGSN)、
Gateway GPRS Support Nodes(GGSN)、Media Gateways(MGW)、
Mobile Switching Centers(MSC)などをBladeとして収容することを目指す。
*4
もちろん、ITU-T/TISPANのNGN標準の為のIMS各サーバをBladeとして収容する
目的にも使われることが考えられる。


実際、日本でも既にNTT DoCoMo
serving/gateway General packet radio service Support Node(xGSN)
などでATCAが採用されている。*5 *6
全部かどうかわからないがNEC製のようだ。*7 *8 *9

Adobe Media Player PhiloとMS Silverlight


Adobeマイクロソフト両者それぞれの得意領域に乗り入れ。
競争激化の前兆。Online Video PlayerとOffline Video Player
の境界線が曖昧になっていく予感。


まず、Adobe側の攻撃。
NAB2007(National Association of Broadcasters)*1において、
AdobeAdobe Media Player(コードネームPhilo)を発表した。
これはマイクロソフトのWindos Media Playerなどに代表される
Software Download型の製品のようだ。


価格は無料。提供は今年末。


特徴は

  • アップロードされたビデオをRSSフィードを使ってSubscribeしたりUpdateしたりできる。
  • またStreamingもできる
  • 色々な方法でビデオに広告を挿入できる。
    • 例えば、最初に広告を何秒か表示する、
    • 画像の中にテキストを埋め込む
    • 小さなClipを入れたり
  • またその広告のビュー数を数えたり、管理したりできる。

といったかんじ。


ちなみにForrester Researchによると、*2
それらOffline Video Playerの現在のマーケットシェアは以下のようになっている。

自分のように一人で複数のPlayerを使っている人は少なからずいると思うが
どのようにカウントしているのだろうか。。。


一方、マイクロソフト側の攻撃。
マイクロソフトもNAB2007においてSilverlightという
AdobeFlash Playerに対抗する製品を発表した。
SilverlightWindows Presentation Foundation/Everywhere(WPF/E)
というコードネームで以前から噂されていたもの。

などがパートナー企業として名乗りをあげている。


4月30日から開催されるMIX07*3
Silverlightのデモ版を披露する予定である。
下記のビデオの中に出てくるデモ版の動作を見る限り結構面白そうである。


http://video.google.com/videoplay?docid=7649945090972708638&q=Adobe+player

OCNシアター、ぷららネットワークスとオンラインTV


2007年4月16日、OCNシアターで多チャンネル放送を始めると発表した。*1


4th MEDIAでは現在オンラインTV経由で
ベーシックチャンネル43、プレミアムチャンネル18、
合計約60chの放送サービスを提供している。
一方、OCNシアターはVoDのサービスのみで放送タイプのサービスはしていない。
が、2007年7月からは、既存のVoDサービスに加えて
この4th MEDIAで提供されている約60chのサービスを
そっくりそのまま提供することになる、そうだ。。。
画質的には、
標準画質テレビ相当の画質であるStandard Definition TVを
伝送速度6Mbsで届けることになるそうである。


ネットワーク的に考えると、、、
OCNシアターはVoD用のサーバー群を収容する
独自のHeadendを既に持っているはず。
また配信はIPv6網のFlet's .NETとB Flet'sを経由して各家庭に届く。
(東日本)*2 *3


一方4th MEDIAでは、下記の図のように
オンラインTVのHeadendから
4th MEDIAプラットフォームと呼ばれる
電気通信役務」を利用したぷららネットワークスの網、
さらにはB Flet'sを経由して各家庭に届くようになっている。
図にはないがこちらもFlet's .NETが必須条件になっているので*4
IPv6網を経由するはずだ。


Source:オンラインTV
http://www.onlinetv.co.jp/business_scheme.html


2つのサービスを同時に提供するということは、
ITProによると*5

NTT Comが提供しているテレビ受像機向け映像配信サービス「CONシアター」に,
ぷららの「4th MEDIAサービス」を利用してオンラインTVが提供している
多チャンネル放送サービスを,2007年7月から追加すると発表した。
NTT東西地域会社の FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)サービス
Bフレッツ」を利用して,家庭のテレビに
60チャンネル以上の番組を提供するものである。

だそうであるから、OCNシアターのHeadendからはVoD、
オンラインTVのHeadendからは放送といった具合に
2つのHeadendから別々にコンテンツを流し、
OCN、ぷらら、それぞれのネットワークを経由。
Flet's .NETにて初めて合流。
B Flet'sを経由で各家庭に配信されるような
ネットワーク構成になることが予想される。


しかし、このネットワークはなんとなく不合理なネットワークに見受けられる。
ひょっとしたらOCN theaterと4th MEDIAはもうじき統合するのだろうか。
あるいはOCNとぷららのサービス自体も。
シナリオ的には筋書き通りではあると思うが。*6

ブロードバンドネット配信業者


昨年の2月の総務省のデータなので少し古いが
ブロードバンドネット配信業者の一覧だ。(全部ではないと思う。)
この中で、IPマルチキャストを利用しているのは
4thメディア、オンデマンドTV、光プラスTV(今はひかりOneサービスに統合)、
BBTVの4つになる。
この図にはないが、NGNもIPマルチキャスト
利用してサービスを提供していると思われる。


このうちIMSの仕組みを使ってIPTVを提供しているサービスはない。
NGNが試している同時再送信の試験を行っているが、
こちらがIMSの仕組みを使っているかどうかは判らないが
現状のITUでの標準化の状況を鑑みると使っていないと思われる。


IPマルチキャストでIP網で放送というが提供サービスプロバイダは限られている。
理由としては、やはり、IPマルチキャスト
大規模なネットワークの建設、かつ高い技術・運用レベルが要求されるからだろう。
今後はNTT東西、NGNを利用した(ホールセールとした)サービスが
4thメディア、オンデマンドTV以外にも出てくることは考えられる。


しかし、やはり同時再送信のコンテンツとしての価値は高いものの
IP網を利用しての放送の需要を伸ばすために必要なのは、
nPVRなどのIP網ならではの独自サービスが必要であろう。
既存のTVと同じコンテンツを既存のTVと同じ使用用途のために流すのなら
IPマルチキャストを利用するより
既存の放送網をそのまま利用するほうが効率は良いはずだ。


IPマルチキャストの否定ではない。
nPVRやAppleTVにIPマルチキャストは必須ではないが
やはりIP網での伝送効率を高めるためにはIPマルチキャストがあったほうが良い。
ここで言いたいのはIPマルチキャストはトランスポートの技術であって
EndUserにとってのサービスではないということ。



source:総務省
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/2010cabletv/pdf/060222_s1-3.pdf